
奏法・練習 · アンサンブル | 中高生・パートリーダー/文・吹部のミカタ編集部
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「アンコン、誰と組んで、何の曲をやればいいの?」——先に言うと、いちばん大事なのは“うまく聞こえる曲”を選ぶことではなく、“そのメンバーで最後まで仕上げきれる曲”を選ぶことです。背伸びした選曲は、たいてい本番までに間に合いません。
この記事は、アンサンブルコンテスト(アンコン)の編成(=誰と・何人で組むか)と選曲(=どんな曲を選ぶか)の、判断の軸だけを中立にまとめます。同族楽器で組むか・混成で組むか、人数はどう決めるか、そして今のメンバーに無理のない曲をどう見極めるか。むずかしい曲を勧めることも、特定の曲を「これをやれ」と指定することもしません。
想定読者は、アンコンに出る中高生本人と、メンバーや曲をまとめる立場のパートリーダーです。大会の申込みや当日の段取りまで含めた準備の全体像は、別の記事に譲ります → アンサンブルコンテスト準備ガイド。この記事は「組み方と曲の選び方」だけに集中します。
この記事でわかること
- 誰と組むか——同族楽器(同じ楽器・同じ仲間)と混成(ちがう楽器の組み合わせ)の、それぞれの向き・不向き
- 何人で組むか——少人数と多人数で、まとめやすさ・音の厚み・難しさがどう変わるか
- 無理のない曲の選び方——「一番むずかしい音」ではなく「最後まで仕上げきれるか」で選ぶ4つのチェック
- 楽譜は正規に入手し、無断コピーはしないという基本の考え方
迷ったら、この順番で決める
- まず「誰と組むか」:気心の知れた同族楽器は合わせやすく安定。ちがう楽器の混成は音色に変化が出るぶん、合わせる難しさも上がる。迷ったら組みやすさを優先。
- 次に「何人で組むか」:人数が少ないほど一人ひとりの責任は重いが、まとまりは作りやすい。多いほど厚みは出るが、そろえる手間が増える。
- 最後に「曲」:いま全員が7〜8割の力で吹ける曲を選ぶ。背伸びした1曲より、最後まで磨ける1曲。技術で聞かせるよりそろっている気持ちよさで聞かせる。
- 楽譜は正規に手に入れる:どの曲にするかを決める前に、その編成の楽譜が正しく手に入るかを確認。無断コピーはしない。

この記事が扱うのは「組み方」と「曲の選び方」だけ
はじめに守備範囲をはっきりさせます。この記事は編成(誰と・何人で)と選曲(どう選ぶか)の判断軸だけを扱い、次は深追いしません。それぞれ別の記事に譲ります。
- 申込み・スケジュール・当日の流れなど準備全体:段取りは アンサンブルコンテスト準備ガイド へ。
- 曲を決めた後の譜読みの進め方:読み方の手順は 課題曲・自由曲の譜読みの進め方 へ。
- 少人数で音程や縦(タイミング)を合わせる練習:合わせ方は 少人数で音程・縦を合わせる練習 へ。
用語も先に一言。編成=どの楽器を何人で組み合わせるか。同族(どうぞく)=同じ楽器や同じ仲間の楽器だけで組むこと(たとえば同じ楽器を数本、金管だけ、木管だけ など)。混成(こんせい)=ちがう種類の楽器を混ぜて組むこと。難しい言葉が出たら 吹奏楽・音楽用語辞典 で確認してください。
誰と組むか——同族と混成を並べて考える

まずは誰と組むか。同族で組むか、混成で組むかで、練習の進めやすさも仕上がりの雰囲気も変わります。◎○△は一般的な傾向の目安で、メンバーや曲しだいで前後します。
| 組み方 | 合わせやすさ | 音色の変化・華やかさ | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 同族(同じ楽器・同じ仲間) | ◎ 音色が近く、音程や縦をそろえやすい | ○ 統一感が出る(変化は控えめ) | 初めてのアンコン/まずまとまりを作りたい人 |
| 混成(ちがう楽器の組み合わせ) | △ 音色・音量の差をそろえる工夫が要る | ◎ 音色に幅が出て表情が豊か | 合わせに慣れている/音色の対比を出したい人 |
※◎○△は一般的な傾向の目安。同じ組み方でも、選ぶ曲やメンバーの経験で難しさは変わります。どの編成を組めるかは、部の人数やパートの事情、顧問の方針にもよります。
ざっくり言うと、同族は「そろえやすいが、変化は自分たちで作る」、混成は「変化はつきやすいが、そろえる手間が増える」。初めてなら、まず合わせやすい同族から入ると、練習が前に進みやすいです。混成は魅力的ですが、音量や音色の差を埋める練習に時間がかかる点は覚悟しておきましょう。
何人で組むか——人数で変わること
次は人数です。アンサンブルは少人数から中規模まで幅がありますが、まず押さえるべきは「人数が増えるほど、そろえる相手が増える」という単純な事実です。具体的に何人まで組めるかは大会や部門の決まりによるので、そこは準備ガイドと顧問の先生に確認してください。ここでは人数がもたらす“性格の違い”だけを整理します。
- 少人数(人数が少ない):一人ひとりの音がそのまま聞こえる。まとまりは作りやすい反面、ミスも目立つので各自の責任は重い。誰かが休むと成立しにくい弱さもある。
- 多人数(人数が多い):音に厚みと安定が出て、多少のミスは埋もれやすい。ただし音程・縦をそろえる相手が増えるぶん、合わせに時間がかかる。まとめ役の負担も大きい。
- 迷ったら:「本番までに全員そろって練習できる回数」から逆算して決める。集まりにくいメンバーが多いなら、人数は欲張らないほうが仕上がります。
大事なのは人数の多さそのものではなく、その人数で本番までに合わせきれるかです。少人数で音程や縦をそろえる具体的な練習は、パートで音程・縦を合わせる練習もあわせて読むと進めやすくなります。
無理のない曲の選び方(4つのチェック)
ここが本題です。曲を選ぶとき、つい「かっこいい曲」「難しくて映える曲」に目が行きます。でも選曲でいちばん見るべきは「今のメンバーで、本番までに仕上げきれるか」。上から順に、正直に答えてみてください。
- いちばん難しい場所を、全員が“7〜8割”は吹けそうですか?
「7〜8割」は決まった基準ではなく、判断のための目安です。最初から完璧でなくてよいですが、一番の難所が「今は全く歯が立たない」曲は避けるのが無難。本番までに磨く余地を残しつつ、土台は届く曲を選ぶ。背伸びしすぎない、が合言葉です。 - その編成に合った楽譜が、正規に手に入りますか?
やりたい曲でも、あなたたちの人数・楽器に合う楽譜が無いことがあります。決める前に、正規の楽譜が手に入るかを確認。パート数や楽器の指定が合うかもチェック(詳しくは次の見出しで)。 - 全員に“聞かせどころ”がありますか?
一人だけ難しくて他は伴奏ばかり、という曲は、練習のモチベーションも仕上がりも偏りがち。それぞれに見せ場が回る曲のほうが、チームとして磨きやすいです。 - 本番までの残り時間で、通し練習まで届きますか?
譜読みで終わってしまう曲は選ばない。「読む→合わせる→磨く」まで到達できる難易度か、残り回数から逆算して決めます。迷ったら、易しめに寄せて“磨く時間”を確保するほうが結果は良くなります。
楽譜は「正規に」手に入れる
選曲と切り離せないのが楽譜の入手です。基本はシンプルで、正規の楽譜を使う・無断でコピーしない。友だちの楽譜を勝手にコピーして配る、といったことはしない、という当たり前の話です。細かい制度やルールは大会や場面で異なるので、迷ったら顧問の先生に確認するのが確実です。
- やりたい曲の楽譜は、その編成(人数・楽器)に合うものが正規に手に入るか。
- 無断コピーはしない。必要な部数の扱いに迷ったら先生に相談する。
- 編曲版(アレンジ)を使う場合、使ってよいか・どこで手に入るかを先生に確認する。
具体的な曲名・出版社・楽譜の値段や販売サイトは、この記事ではあえて挙げません。定番曲は年やレベルで変わり、部の事情にも左右されるからです。候補が絞れたら、先生や先輩に相談して正規の入手先を確かめてください。
編集部の見解:曲が仕上がりを決める、の中身
アンコンの相談でいちばん多いのが「難しい曲と易しい曲、どっちが評価されますか?」という問いです。私たちの見方は、はっきりしています。聴く人に届きやすいのは“難しさ”より“完成度”だ、ということです。難しい曲を通しきれずに終わるより、身の丈の曲を音程・縦・バランスまでそろえきったほうが、演奏としてまとまって聞こえます。実際の審査の観点や配点は大会ごとに決められているので、そこは要項と顧問の先生で確認してください。
だからこそ、選曲は「うまく聞こえる曲」ではなく「そのメンバーで最後まで仕上げきれる曲」で選んでほしいのです。背伸びした1曲は、譜読みだけで時間を食い、合わせる段階に入れないまま本番を迎えがち。逆に、少し余裕のある曲を選べば、“そろえる”“磨く”という、アンサンブルの土台になる部分に時間を使えます。曲の難しさで勝負するのではなく、そろっている気持ちよさで勝負する——これが、そのメンバーの力を一番よく見せる近道だ、というのが編集部の考えです。
具体例:この場合はこう考える
判断軸を、よくある場面に当てはめてみます。あくまで考え方の例で、最後は部の事情としだいです。
初めてアンコンに出る・集まる回数も限られる
→ 合わせやすい同族で、少なめの人数、易しめの曲から。まず「そろえて通しきる」を体験するのが優先です。難しい曲は次回に取っておく、くらいで十分。まとまりを作れた経験が、次の背伸びの土台になります。
合わせに慣れていて、音色の対比を出したい
→ 混成に挑戦する価値があります。ただし音量・音色の差をそろえる練習に時間がかかる前提で、曲は難易度を一段控えめにして“合わせる時間”を確保するとバランスが取れます。混成×難曲の欲張りは、時間切れになりやすい組み合わせです。
やりたい曲はあるが、少し難しそうで迷う
→ まず一番の難所を全員で試奏してみてください。7〜8割は届きそうなら候補、まったく歯が立たないなら見送り。あわせてその編成の楽譜が正規に手に入るかも確認を。どうしても諦めきれないなら、易しめのアレンジ版があるか先生に相談する手もあります。
まだ「曲」を決めなくていい人
早く曲を決めたくなりますが、次に当てはまる間は、選曲はいったん保留でOKです。急いで決めるほど、後で選び直すことになりがちです。
- メンバー(誰と・何人)がまだ固まっていない:曲は編成が決まってから。人数が変わると選べる曲も変わります。
- 大会や部門の決まりを確認していない:人数・楽器の条件を先に押さえるのが順番です(準備ガイドへ)。
- 顧問の先生の方針を聞いていない:候補曲や編成に方針があるかもしれません。相談が先です。
- 本番までの練習回数を数えていない:残り回数が見えないと、難易度の当たりがつけられません。まず数えてから。
編成と曲を決める前のチェックリスト
- ☑ 誰と組むか(同族/混成)を、合わせやすさから決めた
- ☑ 何人で組むかを、本番までの練習回数から逆算して決めた
- ☑ 候補曲の一番の難所を試奏し、全員7〜8割は届くと確かめた
- ☑ その編成に合う楽譜が正規に手に入ることを確認した
- ☐ 大会・部門の決まり(人数・楽器)を準備ガイドと先生に確認した
- ☐ 顧問の先生に、編成と候補曲を相談した
この「選び方」が向かない人
正直にお伝えします。次のような場合は、この記事より先に読むべきものがあります。
- 申込みや当日の段取りを知りたい人:この記事は「組み方と曲選び」に絞っています。準備全体はアンサンブルコンテスト準備ガイドへ。
- もう曲は決まっていて、譜読みを進めたい人:ここでは選び方までしか扱いません。読み方は課題曲・自由曲の譜読みの進め方へ。
- 特定の「おすすめ曲名」を知りたい人:この記事では具体的な曲名は挙げません。定番曲は年や部の事情で変わるので、候補は先生や先輩に相談してください。
編成と曲を決める前に、学校や先生に確認すべき点
じつは、編成や曲を決める前に先生へひと声かけるだけで、選択肢や注意点がはっきりします。学校や部の方針は、この記事より優先です。
- 組める編成や人数に、部としての方針や決まりはありますか?——先に知ると、無駄な選び直しを避けられます。
- 候補にしている曲は、レベル的に無理がないですか?——第三者の目で難易度を見てもらえます。
- 楽譜の入手や扱いで、気をつけることはありますか?——正規の入手先や、コピーの扱いを確認できます。
うまい曲より、そのメンバーで最後まで仕上げきれる曲。

よくある質問
同族と混成、どちらが評価されやすいですか?
どちらが有利、と決まっているわけではありません。審査の観点は大会ごとに決められているので、まずは要項を確認してください。そのうえで編集部としては、編成の種類よりも、その編成でどれだけそろえて仕上げきれたかのほうが効いてくると考えています。合わせやすさを取るなら同族、音色の対比で表情を出したいなら混成。今のメンバーで“磨ききれる”ほうを選んでください。
難しい曲のほうが、審査で有利ですか?
審査の観点や配点は大会ごとに決められているので、「難しければ点が上がる」と決めつけないほうが安全です。むしろ難曲を通しきれないまま本番を迎えると、粗のほうが目立ちやすくなります。編集部としては、身の丈の曲を、音程・縦・バランスまでそろえきるほうをおすすめします。背伸びより完成度を優先しましょう。
人数は多いほうがいいですか、少ないほうがいいですか?
どちらにも良さがあります。少人数はまとまりを作りやすい反面、各自の責任が重い。多人数は厚みが出る反面、そろえる手間が増えます。決め手は本番までに全員そろって練習できる回数。集まりにくいなら人数を欲張らないほうが仕上がります。具体的な上限は大会の決まりと先生に確認を。
曲がなかなか決まりません。どう絞ればいいですか?
候補が出たら、まず一番の難所を全員で試奏してみてください。7〜8割は届きそうか、その編成の楽譜が正規に手に入るか、全員に見せ場があるか、残り時間で通し練習まで届くか——この4つで一気に絞れます。迷ったら易しめに寄せて“磨く時間”を残すのが安全です。
楽譜のコピーは、してはいけないのですか?
基本は正規の楽譜を使い、無断でコピーはしないと考えてください。友だちの楽譜を勝手にコピーして配る、といったことは避けます。部数の扱いや編曲版の使用など、判断に迷う場面は、自己判断せず顧問の先生に確認するのが確実です。

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文・吹部のミカタ編集部 | 吹奏楽・音大・ジャズ研の経験をもとに「買う/待つ」を判断できる道具選びを発信。編成や選曲の最終判断は、部の事情と大会の決まりで変わります。迷ったら顧問の先生・パートの先輩に確認してください。学校の案内が、この記事より上です。